理学療法士として感じていた違和感
私は理学療法士として、5年働いた。
国家資格もある。
周りから見れば、順調だったと思う。
仕事が特別きついわけでもない。
人間関係も悪くない。
患者さんと話す時間も、嫌いじゃなかった。
それでも、どこか虚しかった。
あるとき、先輩の年収を聞いた。
頑張って、勉強して、経験を積んで——
それで、このくらいか。
言葉が出なかった。
看護師と比べれば、年収で100万円近く差がある。
自分と先輩の差も、せいぜい数十万円。
この先何年働いても、
収入の景色は大きく変わらない。
そう思った瞬間、未来の輪郭がはっきり見えた。
大きな病院に行けば、年収は上がるかもしれない。
だが、その代わりに待っているのは、
論文、勉強会、終わらない自己研鑽の日々。
そこまでして手に入る未来に、
心は動かなかった。
もう一つの違和感は、仕事そのものだった。
本気で治したいと必死な患者もいる。
そういう人には、こちらも本気で向き合える。
しかし、正直に言う。
そういう患者ばかりではない。
悪くならなければいい。
話せればいい。
とりあえず通っている。
そんな空気の中で、
気づけば自分の熱も少しずつ下がっていた。
安定はしている。
だが、広がりがない。
きつくはない。
だが、満たされない。
このまま年を重ねた自分を想像したとき、
胸の奥に残ったのは安心ではなかった。
はっきりとした、虚無感だった。
離婚をきっかけに生活が大きく動いた
決定的だったのは、離婚だった。
生活が一気に動いた。
職場も辞めることになり、住む場所も変わった。
人間関係も、日常も、一度すべてがリセットされた。
頭の中は整理できていなかった。
周囲は当然のように言った。
「次も理学療法士を続けるんだよな」
合理的に考えれば、その通りだった。
しかし同時に、また同じ場所に戻るのか、という違和感も消えなかった。
安定を捨てる怖さより、何も変えない怖さの方が大きかった。
日雇いの仕事で生活をつないだ。
飲食、現場作業、
その日入れる仕事を探す毎日。
「今日は入れるか」
「今月いくら足りないか」
思考は常に金額ベースだった。
養育費の支払いもある。
通帳の残高は確実に減っていった。
スーパーでは値引きシールを探し、
1週間分の作り置きをして外食はほぼゼロ。
何を食べたいかではなく、
いくらで済ませられるか。
余裕はなかった。
それでも、不思議と元の職種に戻ろうとは思わなかった。
この怖さは、自分で選んだものだと理解していたからだ。
このままではいけない、という感覚だけはあった。
ただ、何をどう変えればいいのか分からなかった。
キャリアコーチングとの出会い
転職の情報を調べる中で、
「自己分析」という言葉に何度もぶつかった。
だが、やり方が分からない。
自分一人では整理しきれない。
そんなときに知ったのが、キャリアコーチングだった。
正直、最初は疑いしかなかった。
無料相談。
高い熱量。
数十万円の費用。
そして3日という決断期限。
警戒する要素は十分だった。
それでも話を聞いたのは、
今のままでは前に進めない感覚があったからだ。
3日間、支払いシミュレーションを繰り返した。
分割なら成立するか。
生活は維持できるか。
破綻リスクはどこか。
最終的に残った問いは一つだった。
このままの自分で、今後も戦えるのか。
再面談の日、契約した。
ここから思考が変わり始めた。
人材派遣営業へ進んだ理由
面談を重ねる中で見えた自分の強みは明確だった。
人の悩みに向き合う力。
知識と経験を使い、状況を前進させる力。
論理で押すより、感情に寄り添う対話力。
その特性を踏まえ、
次の選択肢として提示されたのが——
人材派遣の法人営業だった。
企業の人手不足という課題に対して、
人材という形で解決策を提案する仕事。
理学療法士は受動型の職種。
営業は能動型の職種。
将来的な独立を見据えた場合、
必要なのは「仕掛ける側」の経験だと判断した。
初受注で見えた営業の本質
営業の現実は厳しかった。
行動しても数字が伸びない。
手応えと結果が一致しない。
それでも行動量だけは落とさなかった。
ある日、一本の電話が入った。
過去に名刺だけ置いて退出した企業からだった。
「人を探している。対応可能か」
ここで初めて、点が線につながった。
営業は種まきである。
即時に成果へ転換するとは限らない。
一定数は枯れる。
一定数は時間差で開花する。
この受注以降、営業の見え方が変わった。
現在の自分とこれからの方向性
現在も営業として現場に立っている。
依然として簡単な仕事ではない。
しかし、方向性の確信は得られている。
自分は待つ側ではない。
自分は、能動的に価値を届けに行く側である。
その前提で、今日も行動を積み上げている。
リンク先:人材営業に転職して最初にきつかったこと|未経験から感じたリアルな壁 https://inocofamily.blog/career-change-sales-first-struggle



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