人材営業に転職して、まず感じたのは戸惑いだった。
理学療法士からの転職。
それなりに覚悟はしていたつもりだった。
でも、実際に現場に出た初日、正直少し固まった。
「思ってたのと、全然違うな」
頭の中で、そんな言葉が何度もよぎったのを覚えている。
これまでの仕事は、目の前の患者さんに向き合えばよかった。
しかし営業は、自分から動かなければ何も始まらない。
電話をかけても、あっさり断られる。
訪問しても、手応えがない。
一件終わるごとに、思った以上に疲れが残った。
「これは、本当に続けられるのか」
帰りの車の中で、そんな不安が頭をよぎった日もあった。
それでも今振り返ると、
あの最初の壁が、自分の視野を一気に広げたのも事実だ。
ここでは、未経験から人材営業に転職した私が、最初にぶつかったリアルな壁と、そこから見えた変化を正直に書いていく。
人材営業に転職して最初に感じたギャップ
人材営業として動き始めて、最初に強く感じたのは仕事の重心の違いだった。
理学療法士の頃は、基本的に患者さんが来院するのを待つ立場だ。
目の前の一人に集中し、状態を見て、必要なリハビリを組み立てる。
やるべきことは明確だった。
一方で、営業はまったく逆だった。
そもそも相手が困っているかどうかも分からない。
こちらから動き、接点を作り、話を聞き、初めてスタートラインに立てる。
ここに、想像以上の難しさがあった。
特に最初は、電話一本かけるだけでも妙に神経を使った。
頭では仕事だと分かっていても、指が止まりそうになる瞬間が何度もあった。
理学療法士時代には感じなかった種類の緊張だったと思う。
それでも数をこなすしかない。
そう自分に言い聞かせながら、毎日少しずつ行動量を積み上げていった。
理学療法士時代との決定的な違い
一番大きかったのは、「待つ仕事」から「取りに行く仕事」へ変わったことだった。
理学療法士の頃は、極端に言えば、目の前の患者さんに全力で向き合えばよかった。
来院してくれた時点で、関係性はすでに始まっている。
だからこそ、自分の集中力も使う場所がはっきりしていた。
しかし営業は違う。
電話をかけても、そもそも話を聞いてもらえないことも多い。
訪問しても、「今は大丈夫です」と数分で終わることも珍しくなかった。
最初のうちは、その温度差に正直かなり戸惑った。
「まだ何もしていないのに、もう終わりか」
そんな感覚が、何度も頭をよぎったのを覚えている。
ただ、この“ゼロから関係を作る感覚”こそが、営業という仕事の本質なのだと、少しずつ理解していくことになる。
理学療法士を辞めた理由は、前の記事で詳しく書いている。
リンク先:https://inocofamily.blog/pt-to-sales-career-change
数字に追われるプレッシャーが想像以上だった
人材営業に転職して、もう一つ強く感じたのが数字との距離の近さだった。
理学療法士の頃も、もちろん成果は求められる。
しかし営業ほど、日々の行動や結果が数字で可視化されることはなかった。
営業は違う。
架電件数、訪問件数、受注数、開始数。
すべてが明確な数字として積み上がっていく。
最初は、この環境にかなり緊張した。
「今日は何件動けたか」
「今週の進捗は足りているか」
気づけば、常に頭のどこかで数字を意識している自分がいた。
ただ、実際にやってみて分かったこともある。
営業の現場で本当に見られているのは、結果だけではない。
そこに至るまでの行動量やプロセスも、かなり細かく見られている。
ここを理解してから、少しだけ気持ちが楽になった。
いきなり結果を出すのは難しい。
それでも、行動量だけは自分でコントロールできる。
そう割り切れてから、日々の動き方に少しずつ迷いが減っていった。
ノルマではなく“行動量管理”の現実
営業と聞くと、まず「ノルマがきつい仕事」というイメージを持つ人は多いと思う。
自分も、正直そう思っていた。
ただ実際に現場に入ってみると、日々強く意識させられたのは、結果の数字そのものよりも行動量だった。
今日は何件電話できたか。
訪問は何件回れたか。
アポイントの母数は足りているか。
一つひとつは単純な指標だが、これが毎日積み上がっていく。
最初の頃は、この管理の細かさにかなり戸惑った。
「ここまで見られるのか」と感じたのが正直なところだ。
ただ、続けていくうちに気づいたこともある。
結果は、どうしてもタイミングや運の要素が絡む。
しかし行動量だけは、自分の意思で増やすことができる。
この考え方に切り替えられてから、数字に対するプレッシャーの質が少し変わった。
怖さがゼロになったわけではない。
それでも、「今日はやるべきことはやった」と思える日が増えたのは、大きな変化だったと思う。
思った以上にメンタルを使う仕事だった
人材営業の仕事で、想像以上だったのは、体力よりもメンタルの消耗だった。
理学療法士の頃も、人と向き合う仕事ではあった。
ただ、営業の現場で感じた疲れ方は、少し質が違っていた。
電話では、話の途中で断られることもある。
訪問しても、数分で会話が終わることも珍しくない。
一件ごとの出来事は小さくても、それが一日の中で何度も続く。
最初の頃は、思っていた以上に気持ちが削られた。
「また断られたか」
そんな言葉が、頭の中に残る日も正直あった。
それでも、ここで止まるわけにはいかない。
切り替えて、次に動くしかない。
この“感情を引きずらずに前に進む力”は、理学療法士時代にはあまり意識してこなかった部分だったと思う。
営業に転職して初めて、自分はメンタルの使い方そのものを鍛えられているのだと感じるようになった。
それでも営業に転職して得られた成長
人材営業に転職して一番大きく変わったのは、自分の「限界の基準」だった。
以前は、「自分にはここまでだろう」とどこかで線を引いていた。
だが営業の現場では、その線が何度も塗り替えられた。
最初は無理だと思っていた企業と、普通に打ち合わせをしている自分がいる。
かつては名前を聞くだけで身構えていた大手企業とも、自然に会話ができるようになっていた。
特別な才能があったわけではない。
やったことは、地道な積み重ねだけだ。
断られても動き続けた。
怖くても電話をかけた。
足を止めなかった。
それだけだ。
だが、その積み重ねが、自分の見ている景色を確実に変えていた。
理学療法士時代には経験できなかった、「ゼロから関係を作る力」。
これは間違いなく、今後の人生において大きな武器になると感じている。
無理だと思っていた企業と取引できた瞬間
営業に転職してから、見える景色が変わった。
最初は、「こんな大手企業に相手にされるわけがない」と思っていた。
正直、電話をかける前から半分諦めていた企業もある。
だが、何度か足を運び、やり取りを重ねるうちに、少しずつ距離が縮まった。
そしてある日、正式に求人依頼をもらった。
あの瞬間、自分の中で何かが切り替わった。
営業は才能ではなく、積み重ねで到達できる仕事なのだと、初めて実感した。
無理だと思っていた相手と対等に話している自分に、少し驚いたのを覚えている。
理学療法士の頃には見えなかった世界が、確実に広がっていた。
自分の視野が一気に広がった瞬間
営業に転職してから、自分が見ている世界の広さが変わったと感じるようになった。
理学療法士の頃は、目の前の患者さんと向き合うことが中心だった。
それは尊い仕事だったが、視点はどうしても“個”に集中していた。
営業では、企業全体の事情を考える。
採用の背景、現場の人員構成、コスト、経営判断。
一人の課題ではなく、組織単位で物事を見るようになった。
その瞬間、自分の思考のスケールが変わったと実感した。
「自分の役割」ではなく、「この動きが全体にどう影響するか」。
そう考える癖がついたことは、今後どんな仕事をするにしても大きな財産になると思っている。
これから人材営業に転職する人へ伝えたいこと
もし今、「営業は自分には向いていない」と思っているなら、その理由を一度言語化してみてほしい。
断られるのが怖いのか。
数字で評価されるのが怖いのか。
今の安定を失うのが怖いのか。
正直に言えば、私も全部怖かった。
理学療法士として働いていれば、生活は大きく崩れない。
評価も一定で、居場所もある。
だが、その安心の裏側で、少しずつ挑戦する機会を失っていく感覚もあった。
営業はきつい。断られ続ける仕事だ。
ただ、きついからこそ、自分の現在地がはっきり見える。
電話一本を避けた日と、かけきった日の差は、必ず後で出る。
逃げるか、動くか。
積み上がるのは、結局その差だ。
無理だと思っていた企業と取引できたのは、才能ではない。
怖くても止まらなかっただけだ。
もし「今のままでいいのか」と少しでも感じているなら、その違和感を放置しないほうがいい。
心地よい場所にいる限り、大きくは変わらない。
それだけは、今はそう思っている。


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